
NAGRA Classic preamp & amp
フロアーには様々な製品が持ち込まれ、その都度試聴しては一喜一憂、驚いたりその変化を体験する事がとても楽しい。同じアンプの試聴でも前回とスピーカーが違う、またそれとは逆の時、試聴音源をガラッと入れ替えての再生など。一番困るのは同じ環境で再生しているのに前回はしっくりこなかったシステムが、今は目一杯好みに沿った音を聴かせてくれる。聴くコチラの気持ち(体調)の変化まで考えると、なんだかどこまでが試聴なのか線引きは難しくなることもあります。とは言え、音の感触や残像はそのいかなる時でも異なる印象を残していくので、頭の中にはその残り香と共に幾重にも記憶が重ねられていきます。しかし、もうこれ以上思い出は残せないということは一度もなくて、この記憶はどれくらいでも残っていくというもの。残しておく引き出しが無限に増えていくとでも言うのでしょうか、ご納品に伺った際の再生音など特に、それが仮に10年前でも同じように。そのほかの事は忘れっぽい性格なのですが。
フロアーの機器の出入りが賑やかになればなるほど、耳をリセットする意味も含めて再生するアンプがいくつかありますが NAGRA はそのひとつ。どこまでも自然で気張らない音、聴く側の肩の力ををそっとほぐしてくれるようなサウンド、NAGRA でしか聴けない音があると思わせる時間。出来るだけ目立たないように佇む努力をしているようで、しかしその魅力が溢れて仕方ない。フィルハーモニア管弦楽団を指揮したフルトヴェングラーとメニューインのベートーヴェンの協奏曲(キングスウェイ・ホール56年録音)、なかでもロマンスの2番が、今も最高の演奏を聴かせてくれています。
