
毎日のようにエアコンをタイマー設定し稼働させていたのも、これでようやく終了。と言いつつも、今年の猛暑の名残はもう少しあるようで、このままスムーズに秋へという訳にはいかないようです。それでも、終わりを感じると寂しくもなるのが不思議なもので、納品時には必ず着替えを持って出歩いていた日々がすでに懐かしく思えてしまいます。季節が巡る頃になると体も心も同じように想いや考えが巡り始めますが、今年の秋はどんな時間を過ごそうか、今はそんなことを考えています。

ビリンバウという楽器の音をまともに聴いたのはナナ・バスコンセロスが初めてだったと思います。1976年エグベルト・ジスモンチとのECMデュオ作「Dança das Cabeças」でビリンバウが奏でる妖艶な響きと共に一気に惹き込まれたのでした(これはジスモンチのピアノもまた素晴らしいのです)。A面のイントロは深い森の入り口に立ったような雰囲気。先日、散歩中に撮った冒頭の写真のあの場所へ立った時にその曲のイントロがポロポロっと頭の中に流れてきました。できれば曲の最後まで頭の中で再生できれば良かったのですが、イントロを過ぎると音は消えてしまったので続きは家で。45年以上も前の録音がいつ針を落としても全く新しく聴こえてしまう、このアルバムは本当に素晴らしい。次にNaná Vasconcelos, Nelson Angelo, Novelli (1975, Saravah)をやっぱり1枚丸ごと聴いて、まだ時間はたっぷりあったので最後は Saudades (1979, ECM) を。
程よい湿度を纏いつつ時折吹き抜ける鮮やかな風を感じながら聴く3枚のアルバムは、終わろうとした夏を惜しむように濃密な時間を過ごす休日のひと時となりました。
