
JBL DD66000 Bi-amp Multi System
Linn Selekt Edition Organik DAC
Linn Exakt system が発表されてからはもう長い時間が経っています。2023年にフルモデルチェンジとなり発売されたフラッグシップ 360 Exakt は、今までとは全く違う世界を魅せてくれるスピーカーとなりました。アナログ領域の幾つものロッシーな段階を無くし、スピーカーにいたるまで全ての経路においてロスレスのデジタル信号を完全に保持。その信号はスピーカーの中まで進み、各ドライブユニットに最大限の音楽情報が届けられます。
このシステムが Linn 以外の他社製スピーカーに適応された中で最も反響の大きかったのは JBL DD66000 (65000、67000) の Exakt クロスオーバー発表時であったと思います。それと同時に、当時 Selekt DSM は発表されていたので、Selekt DSM たった一台で DD66000 を 2Wayバイアンプマルチシステムとして再生している様子を見て、聴いて驚いたのを覚えています。

それから時間が経ち、現在 Linn には Organik DAC がラインアップされています。当時は Katalyst DAC での再生でしたから、Organik DAC での 2Wayバイアンプマルチ再生がどのような音の世界になるのかという期待が湧くのは当然です。JBL DD66000 と Selekt DSM Edition (Organik DAC Bi-amp) それぞれの機器が揃うタイミングというのはなかなかありませんが、ついにその時がやってきました。

以前、DD67000 の Linn Exakt system によるバイアンプマルチチャンネル再生は数年前にフロアーでセッティングする機会があり、これもなかなか出来ない事なので最終日は試聴会という形式で皆様にもご参加をいただきました。この時の音もいまだにクッキリ覚えています。その記憶を頭の中に呼び戻しつつ、現在の Linn Selekt DSM Edition、更に Organik DAC での Exakt system を聴きました。壁のように立つ2台の DD66000 の間を瞬間に抜けるように出てくる音、その音に驚いているうちにスピーカーの間ではなく、目の前の空間全体が鳴っている事に気づきます。聳え立っていた DD66000 も小ぶりに見えるほど、目の前の演奏が豊かに聴こえます。再生を止め、今の時間が全て Selekt DSM 1台のみで起こっていたと思うと、ため息しか出てきません。これ一台だけでこのサウンド、すごい。JBL Everest のまたひとつ突き抜けた世界がここにあります。
