
4367WX
フロアーにしっかり設置するのは久しぶりでした。毎日あると当たり前のようになる感覚が、無くなる事で色々と想像するようになる。この盤は JBL で聴いてみたいなとか、4367ではどう聴こえるのだろうとか思わず考えたりしてしまう。JBL スタジオモニタースピーカーシリーズのフラッグシップモデルは歴代のモデルがそうであるように、常に特別な存在であろうかと思います。スタジオモニターシリーズ以外のラインナップでは DD67000 という JBL の山の頂に聳え立つフラッグシップモデルがあり、そのラウンドしたキャビネットとデザインは言わずと知れた歴史的名機ハーツフィールド(D30085)やパラゴン(D44000)がモチーフとなり2006年にDD66000として華々しく発売を開始しました。当時の製品発表会に私はタイミングが合わず参加する事ができませんでしたが、参加したスタッフから話を聞いたり写真を見たり。広いステージの上にDD66000の各色が合計6本並びお披露目の合図で幕が上がっていく様子はさぞ美しい瞬間だったのだろうと思います。製品写真だけが先行してた頃に DD66000 はダブルウーファーだと思い込んでいました。ところが1本は150Hz以下を受け持ち、もう1本がドライバーと700Hzでのクロスオーバー、ベリリウム素材の2基のドライバーとのバランスを合わせた現代の再生能力を備えた仕様。フラッグシップモデルに相応しい、手の込んだというより贅を尽くした構造である事が分かり、後にその再生を聴いて更に溜息が出たのを覚えています。
話が逸れました。
JBLスタジオモニターシリーズは現在のフラッグシップ 4367 。JBLには歴史が長くありそれこそお好きな方が大勢いる世界なのでここでその歴史をおさらいしたり歴代モデルの仕様をどうのこうのとするのは野暮ったいのでやりません(そもそも私自身ぼんやりした記憶ですし)。4320 に始まったスタジオモニターシリーズは当初2way、それから時代を進むにつれ3way、4wayと変化していきます。私自身10年以上前、その頃は ALTEC 620(604-8G) を手に入れ決して余裕のある広さではない部屋で毎日鳴らしていた時も実は JBL 4320の存在が気になっていました。紆余曲折あり、しばらくして JBL 4331 に巡り会い導入。今はその 4331 も手元から離れてしまいましたが、ALTEC620とJBL 4331 が順に設置できたあの時の音は今でもくっきり記憶に残っています。

また話が逸れはじめたので現行製品の話をしましょう。JBL 4367 は何と言ってもD2(2430K)コンプレッションドライバーが一際目立つ存在となります。古くは075に遡るリング形状ダイアフラム、D2にはそのリング形状ダイヤフラムが2つスタックされているものでこれは全く新しい構造となります。リング形状ダイアフラムはドーム型ダイアフラムの動作時に起こるヘコミなどが発生しない利点がある反面、振動面積が小さくレスポンスが悪い事もありこれを2つのリング形状ダイアフラムで面積を稼ぎ解決させています。更に材質を樹脂製にすることでダイアフラムの可動重量を減少することができ高域特性も40kHzまで滑らかに広げる事を可能にし放熱向上にも繋がります。それに合わせJBLの顔でもあるドライバーホーン形状にも手を入れています。グレッグ・ティンバースが最後の仕事としてネットワーク設計に携わったとも言われていますが、クロスオーバーは700Hz、D2ドライバーという新たな進化を手に収め2wayとしたスタジオモニターフラッグシップ。これは JBL モニターシリーズフラッグシップとして、やはり特別な存在となっていくでしょう。

