
LP12 アップグレード
趣味のための部屋があるというのは本当に羨ましい。そのお部屋に新規でオーディオを導入するご検討を頂いたのが1年半ほど前。ご来店頂いた際、BOENICKE Audio W5SE plus & LINN SELEKT DSM (katalyst)、フロアーイチオシのシステムを気に入って頂けたのも非常に嬉しいことでした。準備が整いお届けに伺いまして更に納得、お部屋のサイズにピッタリ合ったシステムはご納品初日から最高に心地良い音を聴かせてくれたのでした。
その後、直ぐにレコードプレーヤーも導入頂くことになります。MAJIK LP12 でのレコード再生が加わりデジタル、アナログどちらも行き来できる素敵なシステムが出来上がりました。実は初めてご来店頂いた時のお話や雰囲気から感じていたのですが、楽しい事へは努力と時間を惜しまない方ではないかという予想が的中。システム導入後からデジタル再生環境のケーブルや電源、アクセサリー、お部屋全体のルームチューニングも含めて、細かいところまで手を入れていく様子には本当に頭が下がる思いでした。そして、そのひとつひとつが確実に効果を出し、初めてご納品させて頂いた時から考えると非常に豊かな音場と抑制の効いたサウンドを聴かせてくれる環境に仕上がっていると分かるのです。

デジタル、アナログそれぞれのバランスを確かめながら調整の進むシステム。レコード再生は MAJIK LP12 導入当初からアップグレードの予定を含めてお考え頂いていまして、今回そのアップグレードを進行することになりました。アームは発表されたばかりの新製品ARKO、組み合わせるカートリッジも新製品ホヤホヤのKENDO、そしてURIKA2も加わりました。外部電源RADIKAL-AKによりDCモーターへ変更となり、本体キャビネットとサブシャーシ以外ほぼ全てがアップグレードとなる、言わずもがな期待値の膨らむ内容です。
今回のアップグレードとは前後して、SELEKT DSM にはライン出力モジュール(Katalyst)を追加されました。これにより追加導入された外部パワーアンプ CHORD Ultima5 とのシステム構築も可能なハイブリッド状態になっています。SELEKT DSM 1台でのパフォーマンスも楽しめる、それだけでも十分過ぎるものですが、パワーアンプ CHORD Ultima 5 との組み合わせはスピーカーが宙に浮いているようなストレスの無いサウンドでした。明らかに Ultima 5 導入後からシステム全体のパフォーマンスがグッと高いステージに上がった様子が見てとれたのです。こういう時のオーディオは本当に楽しさとワクワクが溢れています。

URIKA 2 でのレコード再生がどれくらい魅力的か、いくつかの場所と機会にお伝えしてきたと思います。フォノイコライザーが受け持つ仕事、担保するクオリティーは各社様々な製品で見ることができますが、従来フォノイコライザーという機器が担ってきた沢山の仕事を全て高い次元で処理する為には結果的に非常に高額な設定の製品となります。現在発売されている国内及び海外製品のそれらを見れば一目瞭然。微小信号を扱う箇所であるからこそ、機器の精度や選ばれるパーツも自ずと厳選されていくからです。デジタル(CD)と異なり、高速で回転するレコード溝の上を健気にトレースする針先を見ていると、やっとの思いで拾ってきた小さな小さな信号を増幅する始めの仕事を任せる機器(フォノイコライザー)に思いが募るのはレコード再生に魅力を感じた方全てに通じることでしょう。この重責を担いつつ、更に今まで見たことのないステージへ持ち上げた製品こそ URIKA 2 なのです。そのパフォーマンスは圧巻の一言ですが、アップグレードを終えお届けしましたお客様のシステムでもその音は見事に花開いていました。


URIKA 2 を導入しようと決めて頂いた際、LINN には既に Organik DAC の発表がありました。現在の SELEKT DSM の Katakyst DAC から Organik DAC へアップグレードを行った時の URIKA 2 でのレコード再生のその音は一体どのようになるのか、お客様の探究はすでにそこへ向かって進んでいます。
冒頭、趣味の部屋があることを羨ましいと書きましたが、ここまで魅力的な空間に仕上げる自信は私にはありません。羨ましいと思ったのはその部屋があることではなく、こんなにも魅力的な空間に仕上げることのできるお客様のセンスに、それを思ったのだと思います。それも努力と手間を惜しまない時間の結果だと知っているからでしょうか、楽しむことに全力を尽くす姿に脱帽です。
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