
Wilson Benesch The Endeavour
James Cook 探検航海の船として名高い呼び名を冠した英国 Wilson Benesch のブックシェルフスピーカー。とは言え、ブックシェルフスピーカーと括るにはその規格に収まっているサイズではありませんので、本当に小型のブックシェルフスピーカーをお探しの場合このスピーカーは除外してください。Wilson Benesch リファレンスシリーズにおいて The Cardinal をフロアースタンドとすれば The Endeavour はブックシェルフと呼ばれるのかもしれませんが、スタンドマウントスピーカーと言うのが正しいかと思います。型式の由来どおり美しくテーパードされたキャビネットは彫刻のように立体感を持ったデザインと重なり、これに Wilson Benesch の伝統でもあるカーボンコンポジットを纏うことにより光と影の存在が眺めるほどに美しく、どちらかというとその影のような佇まいにこそこのスピーカーの魅力を感じるように思います。

基本コンセプトに大きな路線変更はなく、ただし開発、研究はその深さを進み各部に落とし込まれています。The Endeavour にも特徴的なミッドレンジ、キャビネット背面から突き出しているポートの一部を確認できるようにキャビネット内部にはさらにカーボン素材のミッドレンジ用エンクロージャーが収められています。Isobarik ウーファーは健在で、特にスタンドマウントモデル、フロアータイプではないサイズのスピーカーとしては想像を超えたワイドレンジ再生の見事さをまざまざと目の前に魅せられるようです。

椅子に座り The Endeavour を見ると150cmほどある高さに思わず見上げるようですが、再生すると面白いほど目の高さ少し上に音像が定位しスピーカーの存在を時折忘れるほど。騙されているかと思って再生を止めてスピーカーに近づくと、やっぱり本体は大きいんです。あまりに澱みなく流れる海の景色に一瞬止まって見えるような錯覚になる時、石を投げると当たり前に波紋が広がる事で得る安心感。でもひょっとするとさっきは本当に一瞬そうだったのかも知れないと思わせるようなこのスピーカーの世界。あの感覚をまた見たいと思わせる、息を飲むその瞬間はまたどの再生で感じることができるのか、聴くほどに魅惑的なのです。

お問い合わせ先
phone:03-3253-5555 (担当:柴田)
mail:shibata@dynamicaudio.jp