Precision Monitor 1
展開するラインアップを見れば分かる一目瞭然、定期的にモデルチェンジを行う暗黙のルールのようなものとは無縁のもの作りを続けている Avalon Acoustics。それが証拠に国内でも大ヒットとなった Diamond は2001年の発売開始から現在もレギュラーラインナップされ、それ以降に発売されたモデルはある程度の時間を経過して完了したものもありますが、それを考えると Diamond がいかにユーザー、作り手の両方に高評価なのかが分かるようです。
天然木を使用したキャビネットはフロントバッフルには特に厚みを持たせユニットハウジングや動作効率に手を掛けています、ユニットからの振動、不要な反射を回避する為の立体的なバッフルデザイン、各ユニットの時間軸的な位相整合のテクニックとしてキャビネット重量バランスの調整も兼ねた後方スラントの佇まいはパフォーマンスと造形としての美しさを同時に手に入れたものとなったのです。これら一連のキャビネット製作はそれに関わる職人によるハンドメイド、これが今なお評価と人気の続く Avalon の顔であることに間違いありません。
ロングランを続けるものもあれば新しく加わるラインもあります、今回の Precision シリーズがそのひとつとなり、PM4 と PM1 が現在ラインナップされる事になります。PM4 は逆ドームダイアモンドツイーター搭載となりますが、PM1 のツイーターにはリングラジエーターが選択されています。価格帯に合わせたパフォーマンスの設定でしょうか。細かいところではサランネットがマグネット方式に変更されています、そのサランネット装着も含めてサウンドチューニングを行なっていたようですがツイーター周辺に調整が入る事でサランネット無しでの再生パフォーマンスをスタンダードに行えるようになっているとのこと。PM1 は34kg/1本と扱いやすい重量なのも良いかもしれません、PM4 は79kg/1本なので Diamond よりも重くなります、PM1 とは異なるサウンドステージを求める方にはそれくらいの重量の差は大きな問題では無いとは思いますが。とは言え、扱いやすさにメリットが大きいのは組み合わせるアンプの選択にも有効です、PM1 であれば上質なプリメインアンプでも十分に組み合わせることが想像でき、もう少し深く楽しもうと思えばセパレート、それでも大げさなセパレートまで考えずとも組み合わせられると思います。
以前にレビューした Indra Diamond や Diamond に比べると少しライトなサウンドに思えますが、比べればそれは当たり前の事ですしPM1の価格設定を考えると Avalon のサウンドパフォーマンスとしてはお釣りがくるくらいに味わえる仕上がりです。今回の Precision Monitor という型式を聞くと1994年にレコーディング用のコンパクトモニターとして発売された「Monitor」が同ブランドとしては初めてのエンクロージャー底面バスレフ型設計だった事を思い出します、重量含め扱いやすさの面から見てもキャビネット底面でのバスレフポート構造、設置する床面がしっかりしている事、そうでなければ適切なオーディオボードを用意して設置するという事を基本設定として考えたいものです。ともあれ Avalon を目の前に構えて再生する度に思う、独特な定位の世界とスピーカーの存在を忘れるような音場表現の見事さは上位機種譲りであり、PM1 であれば真空管アンプとの組み合わせも悪くないなと考えさせられる選択肢の広さもこのスピーカーの魅力だと思わせます。
お問い合わせ先
電話:03-3253-5555 (担当:柴田)
メール:shibata@dynamicaudio.jp