OCTAVE Jubilee 300B
ヘッドフォンアンプを主体につくられた5極管シングルエンドの V16 を発売した時からきっと構想はあったのだと思います、もしくはもっと以前から。構想がかたちになる段階なのか、想像していただけの時からなのかシングルエンドのA級回路で Jubilee ラインでの製品をつくると決めていたのでしょうか。ということをこちらも想像するだけですが、ホフマン氏は自身のブランドにおける最高峰に位置する Jubilee で3極管シングエンドのA級回路を完成させたのです。並列に並んだ3本の300Bで稼げるパワーは20〜30W、1本で数ワットというのが300Bのベーシックと考えると3本でそれくらいとなるのは当然のこと。ハイパワーを追求するモンスター級のトランジスターアンプがしのぎを削る現代に最大30Wというアンプを世に出す意味をどう考えるでしょうか。当然、低インピーダンス設定かつダンピングファクター値の高いアンプを必要とする能率の低いスピーカーを無理矢理ドカドカと鳴らすためにあるのではなく、スピーカーにとって必要なパワーでドライブすることを前提とし、他には無い300Bの魅せる魅惑的な音色の世界を惜しみなく発揮させることが Jubilee 300B の存在意義だと感じさせます。世に存在するどんなスピーカーでもと言うのは正しくありませんが、30Wもあればスピーカーは十分にドライブできます。それでもホフマン氏は「アンプの最大出力の半分くらいで余裕を持ってドライブしたい」、と考えて設計したようです。
パラレル接続された300Bの点火方式にも独自のアイデアがあり、このヒーター用トランスだけでも相当に大きいようです。出力トランスにしても専用設計ですから、要するにこの製品のための設計がかたちになっているということでしょう。現在国内にこの製品が入りどれくらいの種類のスピーカーを組み合わせて再生してきたのでしょうか、きっとまだ数種類だとおもいますが私のフロアーでは Sonus faber Lilium との組み合わせを選びました。この美しいスピーカーの音色と足し算になるどころか掛け算になることを期待させる2つの製品、プリアンプも Jubilee Preamp として揺るぎないシステムでの再生ができることが今から楽しみです。
お問い合わせ先
電話:03-3253-5555 (担当:柴田)
メール:柴田 (shibata@dynamicaudio.co.jp)