Sonus faber Lilium
キャビネット断面を竪琴に見立て「ライラ・シェイプ」と名付けた美しいシルエット。長年ソナス・ファベールの特徴であり続けるキャビネットデザイン、リュート型の「リュート・シェイプ」を更に発展させたもの。キャビネットデザインに曲線を選んだスピーカーはいくつもあり、特に音響の面から考えるとキャビネット内部で発生する定在波によるパフォーマンスの劣化を避ける目的にも使用されるものです。そういう意味ではラウンドタイプのキャビネットデザインのスピーカーとしては他に特徴的な製品を挙げることができますが、ここまで美しく仕上げることができたものとしては他に超えるものはないと思わせます。これが単に美しいだけではなく機能美として完成しているということは外観からはあまり伝わらない部分ですが、それを知ると尚のこと惚れ惚れしてしまうのです。
Lilium が持つ「デュアル・エンクロージャー」構造とは、低域用ウーファーのキャビネットと中心となる周波数帯域を受け持つエンクロージャーを完全分離。積層木材を部分によって厚みを変えて組み上げ、3つの曲面を持ち内部振動の拡散とダンピングを図った造形となっています。低域用ウーファーは底面に設置、それと対になるよう上部に同型ユニットを上向にパッシブラジエーターとして設置しバスレフ・ポートからのノイズ対策を徹底する。さらにこのウーファーユニットはメインエンクロージャーの音波放射軸とほぼ直角になるよう設置され直接、間接の相互干渉を回避するという方式としても機能するものとなっています。これだけ大型のキャビネットでありユニット数もそれに応じた配置となるため振動対策には更に手が入れ込んであります。キャビネットの上面、下面には航空機用金属製の「T.M.D=質量調整ダンパー」を装着し木材のキャビネットを金属で挟み込むことでユニット振動によるキャビネット特有の振動も抑え込めるよう調整しています。ウーファーキャビネットには内部を垂直に貫くスチール・ロッドが強度の確保と共に残留する微振動さえも徹底して排除されるよう仕込まれています。
これらあらゆる対策が施されたキャビネットであるにも関わらず、外観を眺めると溜息をつく程に美しいと思える仕上げとなっていることが信じられないのです。ソナス・ファベールはそういった物づくりが得意だと言われれば簡単そうに聞こえますが、スピーカーとしての造形美を完全に確立させたその中にこれだけの技術を内包するということこそに仕上げの美しさがより一層際立つのだと思います。
Lilium の「デュアル・エンクロージャー」という構造は以前より頭にあったのですが、それを十分に駆動するパワーアンプとして非常に面白いと思わせる製品が Mclntosh MC901 だったのです。こちらも「デュアル・モノラル」、このデュアルに関してはリンク先から読んで頂くとして、トランジスター600W/chでリリウムのウーファーを、真空管の300W/chでメインユニットをバイアンプ駆動し、設置レイアウトとしてはモノラルパワーアンプ1setのみという着地が完成する。Lilium が美しく謳うメインユニット群には真空管の音色、それを下支えするウーファーユニットはトランジスターでゆとりを持ってしっかりとグリップさせるというこのスピーカーに最も適しているであろうと思わせる組み合わせ。きっとまだこの組み合わせでの音を多くの人は未体験だと思いますが、これほど相性の良いものはないのではないかと考えています。考えているというのは製品が到着するまでの事でしたが、実際にそれぞれの製品が到着し再生した音が目の前に現れた時、それまでの考えや想像が間違いでなかったと確信できたと同時に Sonus faber Lilium の美しさだけではないまたひとつの素晴らしさを体験し味わえたように思います。
Sonus faber Lilium
¥8,600,000 / pair
Mclntosh MC901
¥4,500,000 / pair
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