
BOENICKE Audio & Chario Audio
フロアーでご紹介しているブックシェルフスピーカーはいくつかあり、現在は4製品。どの製品も個性がありこれとこれが似たようなものというのがありません、現在の4製品以外にも気になるものはありますが今はこの4つのブックシェルフで十分です。展示製品を減らしていくと寂しくなることもあり、そう考えると自身もブックシェルフスピーカーが好きなんだと思います。スピーカーとしての総合力はブックシェルフよりフロアータイプのスピーカーの方が様々な点で満足度が高く、キャビネット容量も大きいので豊かなサウンドステージを演出できます。「分かりやすいのは、ビックバンドやオーケーストラのように楽器数が多く、表現するサウンドステージが大きなものを再生する時に大きな違いが出ます」というのはオーディオショップ定番の案内ですね。設置スペースがほとんど同じなので、ブックシェルフスピーカーでスタンドを合計する金額を考えるとパフォーマンスの高いフロアータイプの方が得ですよね、という言葉もよく聞く事があります。確かにフロアータイプと比べるとそういった違いがあるのも事実ですが、ブックシェルフスピーカーには独特の表現世界があるのです、コンパクトなサイズの中で魅せる音の世界が聴き手の想像力をより深くさせるような面白さや刺激に溢れている、とでも言えるでしょうか。

また、ブックシェルフスピーカーはスタンドと合わせたプロダクトデザインも魅力的です。展示している4機種はどれもその条件を満たしているもので、呼び名の通り本体だけを限られたスペースに設置することも可能ですが、専用スタンドとの組み合わせで完成するサウンドパフォーマンスの向上と合わせてその佇まいにも更に個性が発揮されます。このサイズだから仕上げる事ができたデザインがあり、それらの多くは木のキャビネットと鉄のスタンドという異素材で完成する美しさがあります。今回の2機種はどちらもキャビネットに天然木を使用する拘りがあり、扱いの難しく歩留まりの悪い材料をあえて選択していますがそれは音響面からの音質の確保が最優先であると同時に仕上げの美しさや個性の存在があり、全く同じ仕上がりの物を量産する目的とは正反対の作り手の意図が反映されています。存在自体が優れた工芸品でもあり、音で時間を操る道具としても一級品。

だからこそ一般的なブックシェルフスピーカーとは異なる趣向性の高さが際立ったものが現れてきます。このサイズの中で魅せる世界というある種の制約や条件があるからこそ余計にその魅力を感じる事にもなりますが、聴き手の感覚も整理しやすいというのがあり聴覚と合わせて視覚の整理がし易いということもそのひとつになります。特に展示製品のブックシェルフの中で最も小さい BOENICKE Audio W5 の場合、再生中にスピーカーを意識する必要がほとんど無い為、スピーカー自体の存在や威圧感を感じることなく音や演奏に安心して集中できます。また Chario Audio Ghibli は専用スタンドのデザインまで美しく、サイドから見るとスピーカー本体が浮いているようにも見え、これも同じようにスピーカーの存在を強く意識せず空間に広がる音楽を楽しむ事ができます。Chario Audio の魅力は天然木のキャビネット、使用するユニット、専用スタンドまで全て自国イタリア産に拘り自社工房でハンドメイド、それでいてこの価格を維持するという考えられないほどの職人気質が見て取れます。

フロアータイプのスピーカーを選ぶ理由が不透明であったり、空間を生かしたオーディオと音楽の存在が必要な時、このような拘りの詰まったブックシェルフスピーカーはそういった方の希望を叶えてくれるはずです。それは単純にコンパクトであるというだけでなく、時間と手間をかけたつくり手の心意気が詰まった作品としてのスピーカーから聴こえるサウンドパフォーマンスの高さにも驚いて頂けるはずです。敢えてこのサイズを選んで良かったと思える質の高いブックシェルフスピーカー、私のフロアーではそれら厳選した製品のみご紹介しています。
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