
Uneasy / Vijay Iyer, Linda May Han Oh, Tyshawn Sorey
ヴィジェイ・アイヤーはインド系だけれど生まれも育ちもNY。最新作はECMから出ていて、さすがと言うかしっかりECMらしい雰囲気を漂わせる作品になっているのですが彼がそうしているのかレーベルなのかどうなんでしょうか。個人的にはトリオ作品でほとんどメンバー固定でやってきた時代 (ステファン・クランプ、マーカス・ギルモア)をよく聴くのですが、10年以上このメンバーなので勝手知ったる間柄でしかできないリズムのヘンテコな時間すらスムーズに入れてくる心地良さを味わうため。ドラムのマーカス・ギルモアはそれに大きく関わっていて、そのかたちは今ではロバート・グラスパー(彼はピアノですが)の影響も大きくあります。打ち込みのように感じさせながら突然変拍子に入り込みまたいつのまにかループに戻っているようなクリス・デイブの叩き方を聴くとこの人頭の中どうなってるんだろう、と同じ事を思うのです。ロバート・グラスパーはそのリズムの上でサンプリング作法をトレースしながら生で弾きつつ、さらにそれを分解して新たに組み直す(チョップしてフリップ)ことを演奏上(しかもほぼ即興)でやってしまうのだからもっと凄いと思うのです (エクスペリメントの方ですね)。ヴィジェイ・アイヤーは左手の不穏な響きの和音を意図的に入れ込んでくるのでマーカス・ギルモアの狂ったドラムとは相乗効果、でも右手は青空のような美しいメロディーを弾いていたりするので気負わず普通に聴けてしまいます。とにかく、こんなアルバムが休日に思いっきり聴ける時間があればそれだけで最高だなぁと思うのです。