The Endeavour

何度かのご来店を経てアンプを決める最後のご試聴にお越し頂く際に、「スピーカーはコレで聴いも良いですか。」とご依頼頂きました。もちろんどうぞ、という事でフロアーの横で暫く休憩していた Wilson Benesch The Endeavour をセッティング。「お店に来た時からこの佇まいが気になっていて、私の部屋には残念ながら置けないサイズですが、アンプを決める最後の日はこのスピーカーで聴いてみたいと思ってたんです。」

そんな事なら初めから言って頂ければとお伝えしたのですが、当初からお気遣いばかり頂きまして、何だかお願いばかりするのも悪いかと思われていたそうです。初めてのご来店時にご相談頂いた候補のアンプは4機種、お客様の現在のシステムや音楽の好みと設置スペース、ご予算や今後の予定も色々とお聞きして、お話の段階で2機種に絞られました。一度は候補外のアンプもご試聴されましたが、やはり好みとは違う事を感じて当初の予定通り最終2機種をフロアーで再生して判断する事に。

「こういう音が自分の部屋でも聴けたらもっと楽しく過ごせそうです。」と、The Endeavour で聴く音を気に入って頂きながらアンプの選定に集中します。「もっと迷うと思ったんですが、呆気ないほど直ぐに気持ちが固まりました。考えていた時間は結構長かったのに、案外こんなものなんですね。」、確かに最後のご試聴は20分ほど。きっとイメージされていた音や、ご自身のお部屋に佇む姿が見えたのかもしれません。お客様が最後に再生された Everything Happens To Me / Charlie Parker with Strings の3分間はそんな雰囲気が音に出ているような時間だったように思います。

The Endeavour も役目を分かっていたのか、この日はとびきり良く鳴ってくれていました。

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